役員に対する給与の中には、金銭の他にも債務の免除による利益などの経済的利益も入ります。
この経済的利益の中で時価が影響する場合は主に資産の贈与の時のことで、資産を贈与した時の対象資産の時価や、資産を時価より低い額数で譲渡した場合の時価と実際の譲渡価額との差額などがあります。
この他にも経済的利益に含まれる事例は以下の通りです。
1.無償や低額で居住用家屋や土地の提供をした場合、その一般的にもらうべき賃貸料と、実際徴収した賃貸料の金額の差額
2.役員などを保険金受取人や被保険者にする生命保険契約にかかる保険料の一部・全部を負担した時の保険料の負担額
3.低率や無利息で金銭を貸付けた場合、その一般的な利得と実際に徴収された利得との差額
4.債権を免除・放棄した時の債権の免除額など
*法人が役員に対して経済的利益を供与した場合、それは所得税法上での経済的利益として扱われるものではないと同時に、法人が役員に支払う給与として経理しなかったものの場合は、給与の扱いになれません。
このような場合の利益に対する取り扱いは、当該事業年度によって以下のようになります。(経済的利益の額数が役員に支給される退職給与の当たるときは除外)
1. 2006年3月31日までに始まる事業年度:経済的利益が大概毎月一定して行われている場合は、定期給与として役員報酬になり、損金参入することが原則です。定期給与とした扱いにならない場合は、臨時給与になり、損金参入することは出来ません。
2. 2006年4月1日の後から始まる事業年度:経済的利益が大概毎月一定して行われている場合は、定期給与として役員報酬になり、損金参入することが可能です。それ以外の場合は、 損金参入することは出来ません。
*法人が使用人兼務役員に支給する経済的利益の金額が他の使用人に供与される程度のものであるときは、使用人としての職務に係るものになり、損金参入されます。
*役員に対する経済的な利益の金額が事実の隠蔽や仮装による経理でもたらすもの・不相当な高額である場合は、損金算入は出来ません。