買い換える事業用の資産が農地である場合、その面積の範囲について教えてください。

よくわかる農地の税金

一定の事業を経営している個人が、事業用で使用している特定地域の中の建物土地などを譲渡し、特定の期間中にその地域の中の建物土地などの資産をもらい、その資産をもらった日から1年以内に買い換えた資産を事業用で使用した場合は、一定の要件を満たしてから、譲渡益の一部に対する課税を将来に繰り延べられる制度があります。この制度は非課税の制度ではないことに注意してください。
この特例が適用されると、売却した額数より買い換えた金額の方が多額である場合は、売却した金額に0.2を乗じた額数を収入金額にして譲渡所得を計算し、少額である場合はその差額と買い換えた金額に0.2を乗じた額数との合計を収入金額にして譲渡所得を計算します。

この特例を適用させるための要件の中で、買い換えた資産が土地などの種類である場合は、その取得した土地などの面積が譲渡した土地などの面積の5倍を超えないことというものがあり、更に一定の農地の場合は、10倍以内になることもあります。この5倍や10倍を超過する部分に関しては、特例の適用がされません。

他の適用要件は下記のとおりです。要件の全てに該当することが必要です。
<1>売却する資産と買い入れた資産は、両方とも事業用の資産に限られます。
<2>買い替えた資産と譲渡資産が、一定の組み合わせに該当するものであることです。
(1)東京都23区などの既成市街地などの地域の中にある事業所・事務所として使用されている建物やその敷地用の土地の中で、譲渡日の含まれる年の1月1日時点の所有期間が10年を超過するものを譲渡して、既成市街地などの外にある事業用の土地・建物・構築物・機械装置などを買い入れる場合
(2)譲渡日の含まれる年の1月1日時点で、所有している期間が10年を超過する日本内の事業用建物・土地・構築物を譲渡し、日本内の事業用土地(以下のaまたはbに該当するもので、面積300平方メートル以上)・構築物・建物・機械措置を買い入れた場合
a.事務所、倉庫、工場、店舗、営業所、研究所、作業所、住宅とその他のこれらと類似の施設の敷地用で使用されているもの:この特定施設にかかわる事業上必要な駐車場などとして使用されるものも入り、福利厚生施設に当てはまるものは場外
b.駐車場用で使用されているもので、構築物・建物の敷地用で使用されていないことに関して、建築基準法第6条第1項による建築確認の手続き、都市計画法第29条第1項・第2項による開発行為の許可の手続きなどが行われているという、やむを得ない事情があり、その事情の旨が記された申請書のコピーなどの一定書類で明確にされたもの
<3>資産譲渡を行った年中か、その前年中、または譲渡を行った年の次の年中に資産を買い換えること。
前年中に売却した資産を買い換えるためには、管轄税務署長に取得年の次の年の3月15日までに「先行取得資産に関わる買換えの特例の適用に係る届出書」を出してください。
売却した年の次の年中に買い換えようとする場合は、確定申告書を出す際に、買い換えの予定の資産に関する取得価額の見積額、取得予定年月日、その資産が買い換えの組み合わせのどちらかに当てはまるかの別、それ以外の明細を載せた「買換え(代替)資産の明細書」を添付する必要があります。
<4>資産を買い換えた日から1年以内に事業用で使用しなければなりません。取得してから1年の期間中に事業用として使わなくなった場合は、特例の対象に除かれるのが原則です。
<5>特例を適用したい資産に関して、他の特例(優良賃貸住宅の割増償却、優良住宅地の造成などの為の土地譲渡を行った場合の長期譲渡所得の課税の特例など)と重複適用させることはできません。
<6>土地などの譲渡に関しては、譲渡を行った年の1月1日時点の所有期間が5年を超過することです。2013年12月31日までの譲渡については、5年の制限が停止されますが、<2>の(1)や(2)のような場合は、所有期間が譲渡年の1月1日から10年を超過することが個別の要件になります。
<7>資産の譲渡手段は、交換・贈与・出資・収用など・代物弁済などではないこと。買い換え手段も、交換、贈与、代物弁済、所有権移転外リース取引などではないこと。

この特例を適用させる場合の譲渡所得額は、下記の計算式で算出されるのが原則です。
1. 譲渡する資産の譲渡価額より買い換える資産の取得価額の方が多額であるか、同額である場合
(1)収入金額=譲渡の資産の譲渡価額X1/5
(2)必要経費=(譲渡費用+譲渡資産の取得費)X1/5
(3)収入金額‐必要経費=課税対象になる譲渡所得の額数
2.譲渡する資産の譲渡価額より買い換える資産の取得価額の方が少額である場合
(1)収入金額=譲渡の資産の譲渡価額X4/5
(2)必要経費=(譲渡費用+譲渡資産の取得費)X(収入金額/譲渡の資産の譲渡価額)
(3)収入金額‐必要経費=課税対象になる譲渡所得の額数

特例を適用させるためには、確定申告書を出す時に以下の書類も添えてください。
1.譲渡所得の内訳書:確定申告書付表兼計算明細書[建物・土地用]
2.譲渡資産・買換え資産が特例の適用要件の1つである特定地域の中にあることが証明される市町村長などからの証明書など
3.買換え資産の登記事項証明書等の、資産の取得が証明される書類:資産を買い換える予定が認められ、特例の適用がされた場合は、資産を買い換えた日から4ヶ月以内に出す必要があります。

資産を買い換える予定が認められ、特例を適用して申告した買換えの資産の「実際の取得価額」が「取得価額の見積金」より多額であった場合は、買い換えた日から4ヶ月以内に「更正の請求書」を出して所得税の還付をしてもらうことが可能で、少額であった場合も買い換えた日から4ヶ月以内に修正の申告を行って、差額の所得税を納付する必要があります。
翌年中に資産を買い換える予定で資産を買い換えなかった場合・資産を買い換えた日から1年以内に事業用で使用していない・使用しなくなった場合は、このような事情発生した日から4ヶ月以内に修正申告と差額の所得税を支払ってください。